旧交と邂逅 その1
有名人と知り合いだといって自慢する人がいる。
知ってるというだけで自慢になるなら、わたしもそうしよう。
この人は、まだ、それほど有名ではない。でも、これからは見る見る、目もさめるほどに有名になっていくのだ。
今までは知る人ぞ知るというタイプの地道な手堅い作家だった(ようだ)。実のところ作家としてのこの人を良く知っているわけではない。初期の作品をいくつか読んだだけだ。
しかも、本人は少しも手堅くなんかなくて、アナーキーでとんでもなく無鉄砲でとらえどころがない、かと思えばほれぼれするほど硬派な理論家だ。
という印象も実は一部は本人の弁で、後半はこの人のサイトを拝見して改めて知った。
わたしの知っていた頃、この人はまだほとんど少女で、(今だって、見た目も心栄えも少女のままだけれど)少女らしい傲慢さとともにすばらしい知性の輝きを見せていた。あのころの青年たちはこういうタイプの少女を怖がりはしなかった。結果は無残なものであったにせよ、彼らは少なくともこういうまったく歯の立たない相手に恋することを辞さなかった。だからこの驚くべき少女の周りにはいつでも彼女を崇拝する男たちがいて、しかし本人は彼らに無関心で、ただし残酷なほど平等にフレンドリーだったから、女たちから妬まれることもなかった。
童話を書き始めると聞いて、彼女らしいと思った。
童話の賞をとったときには、もちろん当然だと思った。
そして、この人の語り口がはたして「童話」というくくりに収まりきるものだろうかと疑問にも思った。本人が言うように、彼女は子供向けのお話を書いたのではなくて、子供でも読める、わかる本を書いたのに、童話作家という肩書きは結果として読者の数を制限したと思う。
20年たって、すでに童話作家としては中堅になってしまっている彼女が、大人のためにお話を書いた。私小説かと見紛うばかりの設定で、挑戦的な1200枚の大作。
こんなので、泉鏡花賞なんていうのを、かっさらってしまう。
まさにアナーキーの真骨頂!
もっともわたしはそのことを新聞記事で知った。
個人的にはまったくお付き合いのなかった長年月、なにかのおりにわずかな動静をきくことはあったけれど、こんなにもたくさんの著書があるとも知らなかったし、それ以上にここまで多彩だったとは思いもしなかった。
きのう、どういうわけか受賞祝賀の地元パーティにもぐりこむことができて、改めて、こういう人と知りあいだった喜びが身にしみた。
すばらしい会だった。
受賞について、これまでの紆余曲折をジョーク交じりに説明しながら、裏話的なことまで暴露しつつ、素直にうれしさを表現する態度は見事だった。天真爛漫って、この人のためにある言葉のようだ。著作とのギャップがすごい。
ここで、いろいろな人々と出会えた。
ピアノ演奏をバックに、彼女の日本語の詩を英訳した谷地元さんと、デュエットでその作品を朗読したのも印象的だった。本にCDつけてほしい。
もしかしたらクリスマスプレゼントに最適な一冊かも、などとしばらくぶりに「読書アドバイザー」のわたしは商売っ気を発揮してしまうのだ。
お買い上げはアマゾンのリンクからどうぞ!!
星の魚 / 寮美千子/作・画 谷地元瑛子/英文監修
パロル舎 1050円
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Comments
鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画「ヒバクシャ」という作品を町田で上映しようということになり、それを成功させるためのパーティがありました。
催しの最後に寮さん(と彼氏)の「極め付き」と言っても大げさじゃないくらいの素敵で感動的な詩の朗読がありました。
眉間にしわ寄せ必死こいて取り組むというようなやり方じゃなく、ひとりひとりが明るくハッピーになってゆくような運動の展開をめざすというような寮提案に引きずられて?上映会は大成功となったのです。
そしてこのときの体験を生かして誰かが絶対この作品だけはみんなに観てもらいたいというような映画を毎年一回やってゆくというような運動へとつながったのです。
「受賞祝賀の地元パーティ」に地元人の参加がいかほどだったかは存じ上げませんが、寮さんの生き方、考え方など、やはりというか一本筋を通しつつ「明るく楽しい」場(空間)へと参加者を共振させていたのじゃなかったかしら。
こうして筆頭書記官に出会えたというのも受賞祝賀の賜物!!
Posted by: 渡辺喜久雄 | November 29, 2005 at 10:05 PM
渡辺様
再度のご訪問ありがとうございます。
あの日慌しくてお話しできなかったのですが、わたしも数年前までは某映画祭に少しだけかかわってまして、映写技師さんに対してはひとかたならぬ「ロマン」を感じてしまうタイプだもんですから、そのあたりの活動についてもお聞きしたかったのです。
原爆関係でしたら、都内某所より朗読劇のご案内ありです。
どっち方面からでも、もう少し深入りできそうなヨ・カ・ン!
by みしゅねこ
Posted by: みしゅねこ | November 30, 2005 at 09:04 AM